龍が如くシリーズの大改革
龍が如く7は面白い 。本作は桐生一馬が主役を務めた過去のシリーズ6作から心機一転に、主人公を春日一番に交代。(発売日:2020年1月16日 開発 : セガ)
これまでの戦闘アクションを廃止して、RPGの要素を取り入れた意欲作となっている。龍が如くシリーズで定評のある物語は起承転結のあるドラマ性に好評を得ているが
肝心のRPG要素は良い面はあるが違和感を感じたのも事実。それは何故なのか理由を追ってみよう。
龍が如く7面白いそのストーリー
大衆演劇の奇跡の女形として人気を博す少年、荒川真澄は座長の父親と共に横浜の中華街のレストランに訪れた際、何者かに父親が殺される不幸に見舞われた。
時は流れ少年は、東城会系三次団体「殺しの荒川組」の組長で名を馳せ、裏社会の人間として生きていた。ある日、抗争中の団体から、荒川組の関係者を名乗る少年を拘束していると連絡が入る。少年の命が欲しければ一人で来いと。
荒川は抗争中の団体に乗り込んでいくが、そこにいたのは見知らぬ少年だった。少年の名は春日一番。一番に両親はいない。訳あって神室町のソープランド桃源郷の春日店長に育てられた過去を持つ。
荒川は、一番に何かを感じ取り、指を詰めるという極道としての責任の取り方で、一番の命を救うのだった。そんな荒川の漢気に、惚れた一番は荒川と親子の盃を交わすことを粘り強く懇願して荒川組の一員、家族となった。
一番が組に加わってから、一番と同い年で荒川の息子である真斗のサポートを任されていた。真斗は幼い頃、多臓器不全を患い、車椅子生活を余儀なくしていた。
20世紀最後の大晦日。
一番は真斗のお供でクラブを訪れる。彼が恋心を寄せるホステス、夢乃の誕生日を祝う為に。
そしてその日に事件が起きる。
荒川組若頭の沢城が、東城会坂木組の組員と口論になりカッとなって射殺する事件が発生。同門同士の抗争はご法度、まして相手は格上団体。
このままでは荒川組は存続できなくなる。
その為に、一番が沢城の身代わりになり、荒川組を破門。刑務所でのお勤めをしてきて欲しいという。刑期を終えた暁には、組に戻れる手筈は整えておくという、荒川真澄からの頼みだった。
一番は命の恩人である荒川への恩を果たせると、喜んで受け入れるのだった。そして18年後、出所した一番は東城会の崩壊と荒川組の異変に直面するのだった。
楽しい・面白い点
- 先が気になる物語
- 本編以外での遊びが盛り沢山
- ハートフルなサブイベント
- RPG的な成長要素
先が気になる物語
龍が如くシリーズの魅力は、任侠の世界を舞台に漢の浪漫を体験できる点、そしてその世界に意味を与える物語。
本作も、ドラマ性の高いシナリオで、先が気になってやめられなくなる起承転結が描かれている点は 龍が如く7の面白い点だ。
本編以外での遊びが盛り沢山
横浜の伊勢佐木町をメイン舞台に更に大阪蒼天堀、新宿神室町の様々なスポットやゲームを発見をすることができる。ミニゲームだからと侮れない作り込みで、ゲーセンではバーチャファイター5など実在のゲームを楽しめるのも龍が如く7は面白い点だろう。
ショップではアイテムや武器の強化に必要な素材など手に入れることができるその店でしか手に入らない品や最強武器の素材となる物もあるので必ずチェックしよう。街を探索すると東城会の代紋が発見でき、集めることで堂島大吾や渡瀬勝のヘルプ権を得られる。また、特定のスポットに行くと仲間達のハートフルな会話パーティーチャットを楽しむことができ 龍が如く7は面白い と感じさせる。
ハートフルなサブイベント
本作の 龍が如く7は面白い 点の一つに 街の中で様々な出会う人々の人生に関わり、手助けすることで、デリバリーヘルプなどの見返りが得られることも。本編の攻略にも役立つのでサブイベントは是非こなしていきたい要素だ。
RPG的な成長要素
RPGのように、職業を変更して職業ならではの能力を身に付けたりできる。しかし完成度は残念だった(後述)
他にも武器を鍛えて強くしたり、サブイベント等をこなして行くことで召喚獣的な要素のデリバリーヘルプのキャラクターを増やしたできる。 以上が 龍が如く7は面白い と感じた点だ。
つまらない・面白くない点
- キャラクターの物語への関わり方が曖昧
- RPG要素の作り込みが甘い
- コミュニケーションを軸とした恋愛要素がない
- UIが不便
キャラクターの物語への関わり方が曖昧
本作は、これまでのシリーズで登場した人物は脇役で登場するが、本作の主人公や仲間は彼らに存在感で負けている。
特に脇役の紗栄子に関しては、春日一番達とヤクザの本拠地まで乗り込んで行く動機が弱すぎる。紗栄子はヒロイン的なポジションではあるが、主人公に惚れているような素振りも無いし(条件付サブイベントで一部見られるが、正式には恋仲ではない)
かつての桐生一馬と遥のような主人公とヒロインというような存在意義に欠けるように思う。
他のキャラクターも同様に存在意義が弱い。危険を犯して春日一番について行く理由を友情や仲間など曖昧な動機で誤魔化している。特に鎌滝えりは本編では空気である。
主人公の春日一番にもツッコミを入れたい。
物語の佳境で、命を狙われた憎たらしい極悪人の敵に対して涙ながらに「あんたはそういう人間じゃない!あんたならやり直せる!また這い上がってこいよ!」的な綺麗事や友情・正義論など熱く語っているが
やり直すも何も、逮捕されたら死刑か終身刑は免れないだろうとツッコミを入れざる終えなかった。
桐生一馬の方がそのあたり、達観していて好感が持てる、春日一番は未熟さや青さが魅力なのかもしれないが年齢は40代、もう少し精神的に大人でいいのではないか。
RPG要素の作り込みが甘い
RPG要素が良い面もあるが、それを活かしきれておらず、作り込みが甘いと多々感じるところもある。
職業を変えられるのは、ドラクエやFFなどでは定番だが職業ごとの技を覚えたり、見た目の変化などの意味はあるが、物語の中で職業になりきって潜入するなど物語に活かせていないし、職業のバリエーションや特殊性も乏しい。
戦闘時に地形を活かす要素もランダムで自分で優位に動かせなかったり、戦闘フォーメーションなども無く戦略性も乏しい。この辺りが戦略的になれば更に龍が如く7が面白くなるのではないか。
便利な自動戦闘もあるがAIは賢くないので無駄な動きが多い。攻撃する度にキャラクターと敵が、20mくらい距離を置くのも付け加えておこう、攻撃しては離れを繰り返し明らかに不自然。SUJIMON図鑑という倒した敵のリストを収集する要素も中途半端だった。
コミュニケーションを
軸にした恋愛要素がない
シリーズの名物キャバクラだが、本作は訪れると、男の仲間との友情アップの効果がある。恋愛要素は無い。キャバクラで男と友情アップして何が楽しいのだろうか。
恋愛要素はサブイベントで、柳いろは、里々佳、宮越愛恵、沢すみれ、向田紗栄子、鎌滝えり、と条件付で見ることができるが
その主な条件が例えば、盆栽をあげる、メンタルを10上げる、盆栽を10個あげる、2000万円融資する等の地味な作業の繰り返しでコミュニケーションやドラマ性もなく全く面白くない。キャバクラ要素があれば龍が如く7の面白さは更にアップしはずだ。
UIが不便
街のマップで行きたい場所を確認してタクシーアプリのマップを呼びだすのだが、街のマップから直接タクシーに乗れないのは不便。
写真撮影の際にキャラクターを動かせないのも勿体ない。
戦闘の際に味方にアイテムや魔法を使う際に、誰を指定しているか見えにくい、これらは多少の工夫で改善できないものだろうか。
それらを踏まえて龍が如く7には
星3.5を贈ろう
そして今までの作品は任侠の世界を表現してきましたが、本作の主人公は元極道、仲間はホームレス、警備員、ホステスと任侠の世界と呼べるのか?もし次回作があるならどのような設定になるのか気になるところです。
龍が如く7は面白いのでぜひ遊んでみてください。