18年越しのシェンムーはどうなのか
シェンムー3は賛否両論 。シェンムー3が前作より18年の歳月を経てついに発売されました。当時プレイしたファンは、E3での発表、キックスターターの支援から始まって、発売延期を経てようやく遊ぶことができると感慨深い思いが湧いてくるでしょう。
筆者もそんな1人ですが、蓋を開けてみると、期待値が大きかった為に、賛否両論を巻き起こしているようです。実は、筆者もクリアしてみて「あれ?」という思いがあるのも事実です。
シェンムー3は賛否両論 ストーリー
父、巌(イワオ)を殺した藍帝(ランテイ)に仇討ちする為、父の過去と藍帝に奪われた龍鏡を追って横須賀を旅立ち中国は香港に降り立った涼。
巌の残したもう一対の鏡、鳳凰鏡と、藍帝に奪われた龍鏡は、世界を支配できると言われる財宝の鍵と言われる。
その鏡は洮河緑石(トウガリョクセキ)という白鹿村(ハッカソン)で取れる珍しい石から作られた鏡で、その村の鏡師の作った物だと聞いた涼は、白鹿村へ訪れるのだった。そこで龍と鳳凰の鏡に関わる鏡師を父に持つ少女、莎花(以下シェンファ)と出会ったのが物語の始まり。
しかし、シェンファの父エンは、鏡を狙うゴロツキ共に連れ去られてしまったようだった。涼とシェンファは、エンの行方を追ってゴロツキを探すために鳥舞の街へ、ゴロツキの正体はレッドスネークという蚩尤門(シユウモン)に関係する組織だと知る。
シェンムー3 楽しい・面白い点
- シェンムー の続編が発売された
- 美しい鳥舞の街
- ファンを大切にしている
- 美人が増えた
シェンムー の続編が発売された
シェンムーは、発売当時から独特なゲームの為、一般的に正当な評価を受けず、一部の根強いファンに支持されてきた。そのファンの中から後のゲームクリエーターを生み、現在では普通になったオープンワールドという新しい概念を作った。
まず本作の出来がどうこうの前にシェンムー3 が発売されたことがファンには喜ばしい点だろう。
美しい鳥舞の街
シェンムー3 は、キックスターターというファンの支援のもとに実現した。予算的にも潤沢でない中、現代の最高峰のグラフィック、デスストランディングのような画質に慣れてしまったユーザーは、ガッカリするのではないかと想像されたが、
しっかりと、シェンムーらしさを引き継いで、現代のグラフィックにブラッシュアップされている。実写と見紛うような最高峰の美しさではないが、味のある画質で美しい鳥舞の街を散策するのは楽しい。
このグラフィックで汚いという、目が肥えた人は多くのゲームを否定することになるだろう。
そんな人には、映画を見ることをお勧めする。
ファンを大切にしている
キックスターターで支援してくれた、ファンはゲームに登場することができる。例えば、宿屋の伝言ノートや、落として玉の絵柄、お寺の絵馬、更には敵キャラクターとして、支援した人達には、自分を探す旅としても街を探索する価値があるだろう。こんなに多くの人が支援してくれていた、こんなに根強いファンがいるんだと実感、共感できる。
過去作のキャラクターに電話をかけられるなど、製作者がファンに喜んで貰おうという気持ちが伝わる。
美人が増えた
過去作には、ヒロインを除いて、お世辞にも美人とは言えない、アクの強い女性エキストラキャラクター達だったが、今作は一気に美人度が上昇。
ゲーム内の海外の旅人も、どこを見ても美人ばかりだと興奮していた。
もちろん、個性的なフェイスのエキストラも健在。
シェンムー3 つまらない・面白くない点
- 物語が全く進まない
- 仲間との絆が希薄
- ミニゲームがつまらない
- 空腹システムが面倒
- 戦闘システム
- 不自然な要素
- 鈴木裕氏が言ってたことが実装されてない
シェンムー3 は物語が進まない
シェンムー3 で一番、批判的な意見が寄せられているのは、物語が進まない点です。シェンムー1とシェンムー2では、壮大なスケールの物語が綴られていましたが、シェンムー3 では、ゴロツキを探す旅がメインです。ティザー映像を見て楽しみにしていたファンは肩透かしをくらうでしょう。
シェンムーの核は、オープンワールドではなく物語です。物語があってこそ生きるオープンワールドの世界だと思います。だからシェンムー1は、規模の小さいオープンワールドでしたが、物語が良かったから、あの世界観に浸ることができたのです。シェンムー2に至っては、香港や九龍城で擬似生活していたような、記憶に残る体験でした。
仲間との絆が希薄
過去のシェンムーシリーズでは、物語の中で仲間は重要な役割を担っていました。
- 原崎望
- 稲さん
- 福さん
- ゴロー
- トム
- 貴章
- 藍帝
- レン
- 斗牛
- ジョイ
- ウォン
- ファンメイ
- 桃李少 老師
誰も欠かせないキャラクターで、涼を助けてくれたり、敵対する憎き悪者でした。しかしシェンムー3 では、ファンメイがいますが物語に大きく関わるほどではなく涼は完全に一匹狼で物語が進んで行きます。
ミニゲームがつまらない
過去のシリーズでは、ダーツバトルや女の子とのアヒルレースやスペースハリアーなどのミニゲームを楽しむことができたのですが、今作はミニゲームの目的も薄く本当にただのミニゲームと化しています。涼一人でミニゲームは孤独です。
フォークリフトを入れてくれたのは、有り難いのですが、やはり物語と分断されてしまってフォークリフトもこれじゃない感があります。
全体的にミニゲームがストーリーと分断されているのが、つまらない原因の一つでしょうか。過去作ではゲーセンで敵を待ったり、酒場で人探しをしたり、お落し玉でお金を稼いだり、闘技場の誰々を倒せ、などミニゲームが物語に関わる場面がもっとあったように感じます。ミニゲームはミニゲーム、お店はお店としか存在していません。
チョウブチャンを探せなど、無理やり店に入る理由を取って付けたようなミニゲームに思います。
空腹システムが面倒
シェンムー3 ではお腹が空きます。これが面倒です。走るとお腹が更に空きます。走っては食べ、走っては食べ、を繰り返すのは苦痛でした。このシステムは必要なのでしょうか。
戦闘システム
今回から投げ技がありません。過去作はセガのバーチャファイターなどのモーションが使えたのでバトルも爽快でした。今作は予算の都合なのか、投げ技や爽快感も無くなりました。
それと同時に、涼が弱い点が気になります。シェンムー1やシェンムー2で、あれだけ武術を鍛えて、達人に伝授してもらって、シェンムー3 では、雑魚キャラに苦戦します。藍帝を倒したいなら、いい加減もっと強くなってください。
不自然な要素
予算の都合が見えてしまうのは、残念。
例えば、
飲食店や店舗の中がガラガラ。誰もいないテーブルに料理が置かれている。寿司や生牡蠣なども出しっ放しで殺風景。
雨が降っても誰も傘を差さない、土砂降の雨の中で平気で露店で飲食をしている人々。シェンムー1では、きちんと傘をさしていたじゃないか。
大昔のゲームのように、20センチ程度の小さい段差を登れないのは不自然で不便。
何度も同じ会話を聞くのも、会話を飛ばせたり飛ばせなかったり、何度も決定ボタンを押すなど、使い勝手は良くない印象を受けました。
鈴木裕氏が言っていたことが実装されていない
鈴木裕氏は、過去にニコニコ動画で渡辺浩弐氏のインタビューで言及していたことが実現していない点がある。
- レンやシェンファを操作する場面がある
- キャラクターパッシフィブシステム、レンならこういう選択肢があるシェンファならこの選択はしないだろうなど、キャラクターを生かした選択要素がある
- 三国志の籠城戦など、涼達が城に立て篭もり、蚩尤門と戦う場面がある、これは今回やりたいこと。
- キャラクター親密度要素
これらが実現していない点は、期待していただけにとても残念。
それらを踏まえて シェンムー3 には
星2.5を贈ろう
キックスターターという、低予算、インディーズゲームだということは、十分承知していますが、製作者側が大風呂敷を広げてしまった感があり、期待値以上に荒が目立ったのは残念な所です。発売されたことが喜ばしいのですが、シェンムーが好きだからこそあえて厳しくなりました。鳥舞の街が素晴らしく、この街でどんな展開があるのかワクワクして期待しただけに、今作はあまりに展開がなさすぎて残念です。