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天穂のサクナヒメ 令和の米騒動
米作りゲーム
米作りは楽しい 天穗のサクナヒメは、「米は力だ」を合言葉に、日本人が古来より大切にしてきたお米信仰を題材にしたリアルな米作りと、作った米で成長させ鬼と戦うアクションから構成される一風変わったゲームだ。
えーでるわいすが開発し、マーベラスが2020年の11月10日に発売。開発人数はなんとたったの2人(なる氏、こいち氏)+1人の協力者で作られ、驚くようなクオリティーで米作りの細かい工程を再現している。
攻略法は農水省の米作りサイトを参考にできるほどの作り込みから、話題になりライトユーザーをも取込み100万本を超える大ヒット作に。予想外のヒットで市場から品不足になり、令和の米騒動とも言われた。
米作りは楽しい 天穗のサクナヒメのストーリー
武神と豊穣神を両親に持つサクナは 家の財産を食いつぶして、
ぐうたらな生活を送っていた。
ところがある日、神界に迷い込んだ人間たちを 都に侵入させてしまった上に、 主神への献上物である米の備蓄を
全て台無しにしてしまうという失態を犯す。
罰として鬼が支配するヒノエ島の 調査を命じられ、サクナは人間たちと共に
泣く泣く島に渡るのであった。
公式サイトから引用
天穗のサクナヒメ 楽しい・面白い点
- 米作りは楽しい
- 少しずつ行動範囲が広がって楽しい
- キャラデザインがかわいい
- アクションが爽快
米作りは楽しい
種籾選別→田起こし→田植え→分けつ→出穂→登熟→収穫→稲掛け→脱穀→籾摺り。実際の米作りと同じ手順でゲームは進行する。
天候や気温や日照量などは時期毎に変わり、それにより田んぼの水嵩、水温、中干しの時期のタイミングなど毎回同じではない、害虫や雑草にも気を配るなど、リアルな米作りが体験できる。
古来の日本をイメージしたゲーム内では、人間の排泄も田んぼの肥料として活用する、食べた食物により肥料の性質も変わり稲に影響する食物連鎖がある。
なので、夕餉の献立や食べ物を腐らせないように保存食を作ったりと考えることは多い。
そして収穫した米は、籾摺りで玄米、一〜九分搗き、白米と摺り加減を選択でき、サクナヒメの成長に違いを与えることかできる。序盤は九分摺りがお勧め。
これらのサイクルをこなしていく過程の達成感が高く、ハマる人には米作りが奥深く楽しくて仕方ないだろう。
米作り単語一覧(一部)
稲の状態
- 中干し 一時的に水田から水を抜き土壌を乾かして空気に触れさ還元状態から酸化状態に切り替え過剰な分げつを抑制したりすること。
- 過剰生育 稲が大きく育ち過ぎ米の栄養が足りない状態。
- 稲熱病 糸状菌が感染して、葉がうまく育たず稲を収穫できるまでに育たない病気。
- 斑点米 米に黒い斑点がつく症状、カメムシなどの害虫が原因の場合が多いが、その場合は食べても健康被害はない。
- 徒長 茎が細く病弱・虚弱、害虫に対する抵抗性も弱く、暑さ寒さなど、環境の変化も受けやすい。
- しらた米 米粒の中のデンプンが十分に生成できず粒の中に空気が多く入り光が乱反射して白く見える症状。
- 縞葉枯病 カメムシ目のヒメトビウンカが媒介するウイルス病。稲の新葉が黄白色に退色して葉身が展開せず弓状に徒長し枯れてしまう。
- 馬鹿苗病 カビの一種であるばか苗病菌の感染により起こる。葉色が淡くなって菌の産出するジベレリンの影響で徒長して枯死し薄桃色の胞子を多数形成する。
土壌
稲作会議
- 能力相関 作物の強さは私たち豊穣神の強さと関わりがあります。量と命、味と力、硬と体力、香と神気、美と運気、粘と食力がそれぞれ繋がっているようです。
- 土壌養分 稲は、他の土に含まれる養分を糧にして育ちます。養分は使われた分だけ減り、やがては枯れてしまいます。長い間そのままにすると、稲の成長は止まってしまうでしょう。
- 肥料 其の一 厠の肥を肥溜めに投じ、半日ほど寝かせると肥料ができます。田に肥料をまくと、土の養分がたちどころに増えるでしょう。
- 肥料 其のニ 夜には、稲はあまり育たず、土の養分も変わりにくいようです。稲は日の出から大きく育ち始めます。起床とともに肥料を撒く癖をつけると、無駄を省いた暮らしになるでしょう。
- 分けつ 田植え後、ほどなく稲の本数が増えていく分けつ期に入ります。分けつ期は3つの段階があります。豊穣神ならば田を調べることで今の生育段階かわかるでしょう。
- 水 稲は水と光で育ちます。田植えから根付くまで浅水に、大きく育てたい時には深水に、水を抜けば育ちすぎぬよう整えることもできます。
- 益虫 虫の中には、稲に害を及ぼす他の虫を食べてくれるものもいます。峠のどこかで雲谷氏帰るを見かけたら捉え、田に放つのも良い。
- 害虫対策 多くの虫は雑草を好みます。日ごろから雑草をよく除いておくことで、害虫もまた防ぐことができます。急ぎの時は防虫の肥料を調合し投じてみましょう。
- 雑草対策 ほとんどの雑草は手で抜けますが、あくまでその場しのぎ。入念な田おこしを行えば、その年は雑草が生えにくくなります。また水による雑草は水そのものを抜くと止められるでしょう。
- 量 春の巻 種籾選別は軽く行うのみに留める。育苗は厚播きで行う。田植えは密植を避けながらも多く植える。
- 量 夏の巻 出穂までさ穂肥を適量与える。盛夏に中干しを行う。出穂後は葉肥を多く与え深水に。
食材一覧(一部)
- 兎肉
- 猪肉
- 蜂の子
- 豆
- 芋
- 柿
- 酢
- 兎肉の白干し
- どんぐりの糠漬け
- 茸の糠漬け
- 豚肉
- 雀肉
- 稗
- 団栗
- 栗
- 出汁
- 餅
- 豚肉の白干し
- 根菜の糠漬け
- 雀肉の寿司
- 干飯
- 口噛み酒
少しずつ行動範囲が広がって楽しい
ダンジョンをクリアするという概念はなく、欲しい素材の収集や、条件を満たすことで深まる探索度のコンプリートなど、1つのダンジョンを目的を持って何度も遊ぶことができる。
ゲームを進めることで、探索エリアも開放されていくので、より行動範囲が広がるのは楽しい。
場所一覧(一部)
- 化茄子の胎
- 一本穴
- 龍の抜け穴
- 滋養の洞
- 飛石坂
- 万牙洞
- 跳占地の森
- 強獣の泉
- 実りのしとね
- 兎せいの丘
- 大祈樹の森
資材一覧(一部)
- 獣の蹄
- 木材
- 麻
- 泥鰌
- 落ち葉
- 石材
- 竹
- 菅
- 毛皮
- 獣の糞
- 腐った食材
- 銅鉱石
- 鉄鉱石
- 粘土
- 黄檗
- 良質な樫
キャラデザインがかわいい
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サクナヒメ
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タマ爺
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きんた
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ゆい
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田右衛門
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ミルテ
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かいまる
-
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カムヒツチ
「サクナヒメ」「タマ爺」「ゆい」など、ゲーム中に登場する人物は、それぞれ性格が多様で、音声もついているので感情移入しやすく、報酬ありのイベント(仕事)や食事中の会話も興味深い内容になっている。中には「きんた」など生意気だと不評なキャラもいるがそれも踏まえての個性のように感じる。
ペットの犬や猫、合鴨、牛など動物も拠点に住み、生活の助けとなる。
キャラクター(一部)
- サクナヒメ(声:大空 直美)|武神タケリビと豊穣神トヨハナの間に生まれた神で両親から双方の資質を受け継いでいる。ヤナトにおいては格の高い上級神であるが、両親不在で育ったためか責任感に乏しく、自堕落に生活してきた。しかし人間たちと出会ったことにより彼女は大きな災難に巻き込まれ鬼が巣食うヒノエ島に追放されてしまう。
- タマ爺(声:鳴海 崇志)|タケリビ、トヨハナに代わりサクナを育ててきた爺や。その正体はヤナト最強の神剣「星魂剣(ほしだまのつるぎ)」であるが、悪神「大龍(オオミズチ)」との戦いで打ち折れてしまっており、剣としての役割は果たせなくなっている。
- きんた(声:前田 聡馬)|両親を失い、姉とも生き別れてしまった戦災孤児。
山野をねぐらとして盗み、騙しながらどうにか生きてきた。癖の強い性格だが、物作りに対する深い関心と才能がある。
- ゆい(声:古賀 葵)|いつの頃からか、きんたにまとわりつくようになった美少女。物腰が柔らかく落ち着いているように見える一方で狡猾な立ち回りをすることもあり、油断がならない。織物、手芸に関しては類稀な技術を発揮する。
- 田右衛門(声:矢野 龍太)|人間の侍。正式名は「桂右衛門尉瑞月朝臣高盛 (かつらうえもんのじょうみづきのあそんたかもり)」。心優しき大男で、野良仕事が好きすぎて厳格な父から常に叱られていた。戦から逃亡したことにより家に帰れなくなり、山賊に身を落とす。
- ミルテ(声:久保田 ひかり)|「フォロモス教」を布教するため、ヤナトに立ち寄った宣教師団の一人。聖職者であると同時に医師であり、学者でもある。その朗らかな性格は、宗派を超えて苦境にある者の心を照らすだろう。
- かいまる(声:桃河 りか)|田右衛門が身を寄せている山賊一味の頭領の息子。
ある出来事の影響から、口がきけなくなり性格も幼くなってしまっている。すぐに鳥や獣と打ち解けることができ、傍から見ている分には完全に会話が成立しているかのようにすら見える。
- カムヒツキ(声:小日向 みわ)|ヤナト神族を統べる主神であり、世界を創った創世樹の化身。度重なる代替わりによって今ではその力はかなり衰えてはいるが、
それでも依然比類する者がいないほどの強大な存在である。「鬼島」を征服するため、サクナに調査・開拓を命じる。
公式サイトから引用
仕事(一部)
- 千歯こき
- ミルテの簪
- きんた、戦う
- きんたと和尚?
- 鶴を追って?
- ゆいと仲直り
- かいまる、牛を連れてくる
- 失われた豊穣の力
- ミルテは勉強家
- 足踏み脱穀機
アクションが爽快
アクションパートでは、ゲーム初心者でも簡単にコンボを繋げたりと手軽に爽快感を楽しむことができる。
先に進むことで、敵は強くなるが、技や武器を強化したり、食事や米作りでパラメーターを上げることができる。
そして2D横スクロールなので、ダンジョン内で迷うこともなくゲーム初心者に優しい設計となっている。
武具一覧(一部)
片手武器
- 古鉄の鎌
- 御影の藁打
- 銅の鎌
- 樫の槌
- 鉄の鎌
- 鹿角の豆取
- 翡翠の藁打
- 鬼真珠の杓文字
- 大業物の鎌
- 縞鋼の藁打
- 星魂の鎌
- 神樹の槌
- 天階剣
両手武器
- 竹箒
- 御影の大玄翁
- 銅の鍬
- 鬼真珠の湯桶
- 大業物の鍬
- 黒曜の鋤簾
- 鉄刀木の鋤
- 黄金の熊手
- 勇魚取の大釘
- 縞鋼の大玄翁
- 神樹の鋤
- 煉蛇の刺股
衣
笠
面
技(一部)
技
- 飛燕
- 高波返し
- 車輪断
- 荒田起こし
- 電光石火
- 怒髪天
- 暴れ独楽
- 胴貫打ち
羽衣技
- 引き繋ぎ
- 半円投げ
- 飛衛槌
- 異世送り・力
- 異世送り・体
天穗のサクナヒメ
つまらない・面白くない点
- 人によって飽きやすい
- 米作りが専門的で難しい
- ゲームの中の1日が短い、仲間の成長がない
人によっては飽きやすい
そもそも米作りに魅力を感じない人には、地味で飽きるのも早いだろう。アクションパートを目当てにするにも本作より優れたアクションゲームはマリオなどはじめ沢山ある。
自分のスキルを磨きネットで対戦したりスコアを競ったり、緊張感を求める人には物足りないかもしれない。
米作りが専門的で難しい
本作の攻略が農水省や農家のサイトを推奨するほど、実際の米作りに近い内容を再現している為、素人には知らない言葉や、正解の無い事柄などがあり、難しく感じるかもしれない。
とは言えある程度は適当に進めてもゲームオーバーになることはなく成立はするが。説明書を読みたくない、直感で遊びたい人には面倒に感じるかもしれない。
ゲームの中の1日が短い、
仲間の成長がさほどない
プレイヤーはサクナヒメを操作して、田んぼのメンテナンスから、ダンジョンに出かけて食糧や田んぼの肥料の素や武具の資材など調達をしなければならない。
サクナヒメだけでは、1日に出来ることが限られている為、時間の流れの速さにもどかしく感じてしまう場面があった。
仲間が効果的に米作りを手伝ったり、一緒にダンジョンの探索に参加してくれたり、個々の特性に合ったスキルを成長させてくれたら助かるのだが、個人的にそういった要素が物足りなかった。
それらを踏まえて
天穗のサクナヒメには
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本作は、2人+1人の協力者で開発されたとは思えない作り込みで、よくできたゲームだと思います。お米という古来から日本人に欠かせない食物を題材にしたことも、農作物の生産の苦労や大切さに改めて気がつかせてくれる作品でもあります。
このゲームがきっかけで農業に関心を持つ若い人も出てくるのではないでしょうか。楽しいだけでなく学びになる作品でした。